Photo : Yuko Ozawa | iPhone

湿度を帯びた重たい空気のなか、意を決して外に出た。

何十年も前に幾度となく通った橋を歩く。
架け替えられた当時はなんだか不釣り合いに新しかった橋も、今はもうすっかりと風景に馴染んでいる。
池を囲む緑もその奥にそびえるマンションも変わらないけれど、
かいぼりが行われた池の水は水草が覗けるほどには透明で、緑の水草が水鳥たちの羽を捕まえていた。

そんな水面を見て、随分とここに来ていなかったことを思い出す。
それから、「昔はここで泳いだのよ」と言った祖母のこと。

この公園を通り、かつて通った道の先に目指す場所があったことも、腰の重い私を後押ししたに違いない。
旅立ちの前々日、台風の迫る日にも関わらず。

 

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/////開催概要/////

Studio Journal Knock 7 “Ephemeral Paradise”

期間:2019年8月15日(木)~9月9日(月) 12:00-20:00
※火曜・水曜日は定休日

海外に出てみると、もしくは会社という組織に属さなくなってみてると
今まで気にも留めなかった人とのつながりを強く意識するようになる。
家族と、友人と、はたまた恋人と繋がっていられること。

そんななかでも「おかえりなさい」と言ってもらえることの威力はすごい。
帰る場所があること。
その事実はきっと人を何倍も強くする。

 

そんな私を知ってか知らずか(もちろん知るよしもないのだけれど)、
西山さんの言葉は、ひとつひとつがまるで私を見透かしているようだ。

 

——適度に社会とつながっている感覚がいいね。
あまり根無し草過ぎるとしんどいから。

 

——人とのつながりがなかったらこんな生き方はしていられない。

 

——たくさん写真を撮ってください。カメラでもiPhoneでも。
それはきっと誰も見たことのない風景だから。

 

そして極めつけはサインに添えられた一言。

 

 

行ってらっしゃい
おかえりなさい

 

「旅は帰るまでが旅だから」と笑いながら添えてくれた一言に
内心泣きそうになった。

きっと世界中を旅してきた西山さんだからこそ、
おかえりなさいの威力を知っていたんだろうなと思わずにはいられない。

 

切り取る写真も、紡ぎ出す言葉も
すべてがこんなにもどストライク。

 

この歳でも憧れの人にはまだまだ出会える。
何も遅くない。
ほんのちょっと行動してみたら、
それだけで変わる何かがきっとある。
そう思えた30分。

その間にもまるで熱帯のような土砂降りが2度も通過して行った。

DMはありますか?と声を掛けなかったら、
西山さんとお話をしていなかったら、
きっと帰り道で土砂降りのなかを歩く羽目になったに違いない。

新しい本を手に店を出ると、外は夏の夕方の雨上がり特有のくすんだ青が雲間からのぞいていた。

 

——いってらっしゃい、気をつけて

 

そう言って手を振りながら西山さんは送り出してくれた。
そうそう、それから

——油断しないように。
ほんの少しの悪い人はたまにいるから。

って。笑

でもきっと私人との出会いはツイテいる。
店先で手を振ってくれた西山さんの顔を見てそう思った。

 

明日からベトナム。
次は自信を持って見せられるような写真を撮ってこよう。
これもきっと西山さんの言葉の威力。

 

Studio Journal Knock 7 “Ephemeral Paradise”

book obscura

 2019年8月15日(木)~9月9日(月)12:00 - 20:00 ※火曜・水曜日は定休日

もし西山さんが在廊されていたら、ちょっとの勇気を出してお話してみてほしい。
きっと一生大切にしようと思えるような大切な言葉に出会えるから。

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